月: 2024年2月

新しい愛の形

  これを目前にして、気分が高まらない奴などおるか。 照り照りの紅が眩しい山盛りの苺が乗ったタルトとそれに匹敵するサイズのバニラアイス。 「あれ今日って私の誕生日だっけ?」と勘違いしてしまう程の華やかなデセールである。 …

不意打ち

  何度も何度も食べている「黒毛和牛ランプ肉のステーキ」だが、これは味わったことのない未知だった。 身質が魚の様に繊細で柔らかく、肉汁は溢れ出るのではなく躍動し、口腔の中を這うように巡るのだ。 「こんなの知らない」 いつ …

ざわつく

  白身魚は綺麗すぎる。 赤身魚と違って淡白でクセが全くない。 だからどこにも引っかからないし、琴線にも触れてこない。 だが、ムニエルにされると途端に色艶が増す。 油脂によって照ったカレイを口に運ぶと、バターの甘い香りが …