どすん。

  どすん。 皿が置かれた瞬間、地響きが鳴った。 ロワール産ホワイトアスパラガスである。 数本のアスパラが一つになったかの様な、太く立派な躯体に、思わず目を丸くした。 穢れなき苦味とふくよかな甘みは、大地の豊かさを内包し …

法違反

  生後1ヶ月の仔牛に色艶を感じてしまった。 口に近づければ、柔らかな身質から滲み出る乳の甘やかな香りに、ローズマリーがふわっと乗ってくる。 甘やかなバターやモリーユの滋養、じゃがいもの丸みの全てが、仔牛をそっと抱く。 …

残酷かな

  胡麻を纏った皮目を歯で破れば、身が舌の動きに添いながらしなやかに解れていく。 あたかも舌に同化する様に甘え、焦ったい桃色の色気を漂せる。 サクラマスに官能が震え、弄ばれ、意識がすっーと遠のいていく。 残酷かな。たった …

波の音

  ちゅる。 牡蠣が口に滑り込んできた。 その瞬間、波の音に鼓膜が震え、母なる海に舌が抱かれた。 乳の濃密な甘みが滲み出し、ビネガーと混じり合い、旨味を膨らます。 フランボワーズが、牡蠣と爽やかに融合し、心地良い磯風が吹 …

神様

  成熟する前のしなやかな筋肉が、歯によりかかる。 胸が疼くいたいけな滋味がこぼれ落ちる。 穏やかな芽キャベツが、幼い旨味に歩調を合わせ、春を囁く。 最後に、とっておきの脂身を噛む。 この部位には、神が宿っている。 仔羊 …

かすべ

  はらり。 温かな空気をはらんで、かすべの身が舞う。 かすかな甘みが、繊維に沿って顔を出し、笑顔を生む。 一方で、軟骨は歯の間をコリコリと弾み、歯を喜ばせる。 ソースの太い酸味が、かすべの繊細を愛おしむかのように、そっ …