どすん。 皿が置かれた瞬間、地響きが鳴った。 ロワール産ホワイトアスパラガスである。 数本のアスパラが一つになったかの様な、太く立派な躯体に、思わず目を丸くした。 穢れなき苦味とふくよかな甘みは、大地の豊かさを内包し …
月: 2024年5月
生後1ヶ月の仔牛に色艶を感じてしまった。 口に近づければ、柔らかな身質から滲み出る乳の甘やかな香りに、ローズマリーがふわっと乗ってくる。 甘やかなバターやモリーユの滋養、じゃがいもの丸みの全てが、仔牛をそっと抱く。 …
ドーバー海峡の舌平目は、バターに寄りかからない。 こってりとした乳脂に溺れず、自身の旨味を主張する。 その身は、花弁の様な繊細さとは対極。 ぷりぷりと音が立つかのように歯が食い込んでいく。 すると、海峡の荒波に負けな …
フォアグラと豚足。 口にしただけで悪い取り合わせである。 サクサクの後にやってくる、豚足とフォアグラのトロトロ。 ゼラチンと脂が絡み合い、歯や歯茎にまとわりつきながら、迫力ある旨味が口内を包みこんでいく。 あぁ身体に …
胡麻を纏った皮目を歯で破れば、身が舌の動きに添いながらしなやかに解れていく。 あたかも舌に同化する様に甘え、焦ったい桃色の色気を漂せる。 サクラマスに官能が震え、弄ばれ、意識がすっーと遠のいていく。 残酷かな。たった …