カレーの美味しさ。

 

幼い頃から、私は食い意地を張った子供だった。毎朝欠かさずに給食の献立表をチェックし、「カレーライス」という文字には、一際心を躍らせていたのを覚えている。

お昼のカレーだけをモチベーションに、午前の授業を乗り切り、腹ペコで一心不乱にカレーライスを頬張り、牛乳で『ぷはぁーっ!』と流し込む。

宝町は「ロダン」のチキンチーズカレーを食べて、そんな小学生時代の淡い記憶を思い出した。

「ロダン」のカレーは、香り高く、デミグラスを思わせる奥深いコクがある。食べ進めていくと、後からスパイスが追いかけてきて、身体がじんわりと火照ってくる。

松の実のソースとチーズを絡めれば、マイルドかつ重厚的になり、後に残るほんのりとした甘みは、日本的哀愁を感じさせる。

あの頃と違うのは、カレーの余韻を口に残して吸う一本の煙草に、カレー以上の美味しさを見出したことである。

  

– 宝町 ロダン –

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