日本人であるなら、日本の食材の素晴らしさは、重々知っている。
しかし、「エスキス」の料理を食べて、自分の浅はかさを痛感した。
茄子である。
滋養を抱えた夏の茄子は、噛めば、花開く夏の情熱に身体が鼓舞される。
だが、「エスキス」の茄子は違った。
トマトウォーターと柑橘を効かせた味噌の上に鎮座し、ゴーヤ、ネペタ、カラスミの化粧をされた茄子は、気高い気品がある。
噛めば、茄子が潰れて、穏やかな酸のソースや味噌と出会い、香りと甘味が花開く。
そこへ、ネペタがさりげなくやってくる。
優雅な香りを立てながら、消えていく茄子に、切なさを感じる。
巧みに盛り込まれた多様な風味が、響き合い、一体となって心を溶かす。
夏の茄子にこんな一面があったなんて知らなかった。
◆贈り物 | 蛸 桃 リベーシュ
◆大地の力 | 茄子 ゴーヤ ネペタ
◆静かな声 | 蛤 リュバーブ ねずの実
◆自家製カンパーニュ 蓬とドライトマトのパン
◆調和 | 豆 雲丹 ヴェルヴェンヌ
◆時化 | 鱧 山椒 青柚子
◆深淵 | キンキ フヌイユ 白エビ
◆獣性 | 仔羊 セージ ポレンタ
◆錬金術 | フロマージュ 醸し
◆愉しみ | スイカ ロゼワイン ラベンダー
◆南岬 | パイナップル ココナッツ ロングペッパー
◆茶菓子
– 銀座 ESqUISSE –