歯が喜んでいる。
「北島亭」の「オーストラリア産仔羊背肉の香草パン粉焼き」である。
カリッ。
パン粉が音を立てて弾けた瞬間、健やかで伸びのある赤身と甘いコラーゲンが、口に入って、顔を崩れさせる。
噛めば、肉に歯が抱き込まれ、香草を纏った仔羊の芳しい風味が鼻に抜ける。
仔羊の野趣が、身体を巡り、息がどんどん荒くなる。
肋骨を持って、齧り付く。
そこには、成熟する前の、幼気な柔らかさと甘味があって、食べてはいけない禁断がある。
犯してはいけない禁忌に、我を忘れて、そのままひたすらに屠り続けた。
◆胡瓜とミントの冷製スープ
◆玉ねぎのタルトフランベ
◆北海道産生ウニのコンソメゼリー寄せ カリフラワーのクリーム
◆青森県産あいなめのポワレ ドライトマトとパセリのソース
◆オーストラリア産仔羊背肉の香草パン粉焼き
◆フランボワーズのチーズタルト
◆茶菓子