キャベツというのは、包容力の塊である。
挽肉を包み込んだロールキャベツを始め、この「縮緬キャベツとフォアグラのテリーヌ」もまた、キャベツの懐の深さに感心させられた。
濃密で妖美なフォアグラを挟み込んだ縮緬キャベツの薄い層が、その青い甘味でフォアグラを優しく抱きしめている。
繊細な抱擁を壊さぬ様、優しくゆっくりとナイフを落とし、そっと口に運ぶ。
口に広がる味わいは、地平線の様になだらかで、どこまでも丸くて永遠がある。
フォアグラというものは、脳幹を揺さぶる強さに満ちているが、キャベツと出会えば、こうも変わるものなのだな。
全ては、キャベツの包容力故である。