奥底に潜む野生の優しさ

厳しい自然環境を生き抜いた野生の鳥は、人間に迎合することなど考えていない。

噛むと感じる青葉の様な香りと苦味は、肝や内臓とは違う、森の苦味。口腔にしぶとくいすわり、迫ってくるそれは、舌に甘えない孤高である。

だが、栗やジロール茸を合わせるとどうだろう。孤高の野生が、栗のほっくりとした甘み、茸の滋味と優しく抱き合い、途端に人間との距離を縮めてくる。 

ローストし、サルミソースで絡めた人間を突き放す野生の味に「負けまい!」と鼻息を荒くするのも良いが、奥底に潜む野生の優しさを味わう当品もまた、ジビエを喰らう一興なのだと教えられた。

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