蛤の色気

ネギに身を潜めた蛤と目があった時、頬を赤らめた。

白濁とした汁を滴らせた姿、陽の光を初めて浴びたかの様な透き通った肌に、色気を感じたからだ。

穢れなど一切見られないその純粋無垢を前に、鼻息を荒くした自分を恥じらいつつ、ゆっくりと口に運んだ。

艶めかしい肉体に歯が入ると、海の全てが詰まったエキスが口の中に押し寄せてきた。

それは、やがて満ち潮となって、私は深い海底へと引き摺り込まれていった。

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