フランス料理 感謝と畏怖 By 伯爵 on 日曜日, 12月 24, 2023 どこまでもきめ細やかで、しなやかな肉に歯が迎えられた時、瞼の裏に広大な蝦夷を駆ける鹿の姿を見た。 そこには誰にも束縛されず、自由に命を育んできた野生だけが持つ純潔がある一方で、人間によって引き出された勇猛がある。 生への固執が失われない程度の精妙な加熱が、鹿を本来持ち得ない滋味の極致へと誘っている。 鮮血が滲み、舌を通って細胞へと染み渡り、喉元から香る血潮に、思わず涙が滲んだ。 その涙の真意は、命を頂くことへの深い感謝だけではない。 人間が到底及ばない、広大な自然に対する畏怖もあった様に思う。 北島亭 Previous Post Next Post Related Posts フランス料理 どすん。 フランス料理 法違反 フランス料理 ドーバー海峡の舌平目