カオナシ

 

これは普通の白子ムニエルではない。

ソースにフォンとバターが境目なく抱き合っている。

ぷりっ、とろり、とろとろ。

熱々を口に入れると、いけない甘みがフォンとバターの純真と溶け合い、脳がゆっくり溶けていく。

あぁ、あぁ。

言葉にならない音が、自然と口から漏れる。

鏡を見ると、自分の顔が”カオナシ”になっていた。

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