秋葉原には「竹乃子」がある。

 

自動ドアを手動で開けて、ガムテープで補強された急な階段を上がる。ぺったんこの座布団に腰を下ろして冷えた麦茶をぐびっと一杯。「ただいま〜」と言いたくなる実家感溢れる店内。

 

しょうが焼きは生姜の風味は弱く甘い味付け。家庭料理の延長だが、ご飯に合うことが約束された信頼の味だ。嬉しいことに目玉焼きはダブル。偶然か狙ってか、黄身は半熟と硬めが一つずつ。狙ってやっていたら匠の技。サラダのドレッシングが自家製であることよりも、この技をもっとアピールすべきだと思う。

勘定をして店を出ようとすると「階段危ないから気をつけてね!」「ドアは閉めておくからそのままで良いよ!また来てね!」。

おじさんの柔らかい言葉が背中にかかる。「また来るね。」と胸の中で返事をする。

縁もゆかりもない秋葉原だけど、私には「キッチン竹乃子」がある。

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