新作にして、スペシャリテとして君臨する風格が既にあった。
鰻の皮目、身、煮詰めたフォンを固めたジュレを重ねた冷静テリーヌである。
プチッと弾ける皮目のゼラチン、しっとりとした白身、純度100のジュレ、三つの層を舌に乗せて歯で崩す。
甘やかなコラーゲンと筋肉の隆々さと黒々とした肝の苦味。
其々が個性を発揮し、魅力を競い合うが、同じ鰻故に収斂する。
そこへ八角の甘みが漂って来て、鰻の鰻たる甘やかな余韻を飾り立て、重箱いっぱいの鰻重よりも鰻を感じる。
2024/3/24
新たなスペシャリテが産声を上げた記念日。