明日へのアスパラガス

 

4月の北島亭。

アスパラか、フォアグラか。

無論、アスパラである。

ただ茹でただけなのに、穂先からは春が香り、根本から大地のミネラルが溢れ出す。

コリアンダーを忍ばせたオランデーズソースは濃厚だが、決してアスパラを越えようとせず、ささやかに共鳴している。

力強くも奥底に優しさを秘めた自然の味わいが、細胞ひとつひとつへと染み入る。

身体中の穢れが落とされ、血液が循環していく。

あぁ、生きている。

明日の活力になるアスパラであった。

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