鮎のガトー仕立て

 

鮎をフランス料理に仕立てながら、和を感じさせない。

鮎は、ガトーへと姿を変えて、優美な輝きを見せる。

口に運べば、鮎の滋味、苦味、旨味が次々と襲いかかってきて、呆然となってしまう。

エレガントでいて、力強い。

頬を優しく撫でられたかと思えば、後頭部を強く撃ち抜かれる衝撃に、鳥肌が立ち、眩暈がする。

この一品を生み出すまでに、どれほどの苦労があったのかは知る由もない。

私はただ、一口、また一口と深く味わいながら、体の奥底からせせり上がる幸せをかみしめた。

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