「ムニエルとは、バターでじっくりと魚に火を通し、皮目は香ばしく、身はしっとりと焼き上げるものだ」と定義するならば、「コートドール」の「山口県産甘鯛のムニエル」にその答えがある。 バターの純粋なコクだけを甘鯛に与え、甘 …
月: 2023年11月
フォアグラは好きだが、フォアグラのテリーヌはそうでもなかった。 そう、「コートドール」の「鴨フォアグラのテリーヌ」を食べるまでは。 みっちりと詰まったテリーヌをゆっくりと舌の上に置いた瞬間、視界が揺らいだ。 甘い香り …
優美な一皿である。 「オーヴェルニュ産ホロホロ鳥のガランティヌ」。 鶏とは違う、高貴なホロホロ鳥。淡白な味かと思いきや、二口、三口と噛めば、はっきりとした一切の臭みを感じさせない、純然たる澄んだ旨味を主張してくる。 …
「北島亭」のステーキは、噛めば噛むほどに、命の雄叫びが舌を渦巻く。 舌を踏みつけてくる躍動感のある濃い旨味は、牛の生命力そのものである。 食べているのではない。 肉が私の顎を動かしているのだ。 噛む毎に、肉が口の中で …
艶めく目玉焼が、息を呑むほどに美しい。 とろっと半熟の黄身が流れ出る様は、幾つになっても心躍るものがある。 国産牛と国産豚のハンバーグは、舌に優しく、ふわりと崩れる。 噛むと、合挽ならではの凛々しい牛の香りと豚の甘み …
皆既日食を閉じ込めたような輝きを放つソースに、逆さ富士のように映り込むパイの気品ある姿は、もはやフランス料理百景である。ナイフを入れると、たちまちバターが鼻を包み込み、口に入れれば、フィレが歯を柔らかく包み込む。舌を …
カボチャ、クリーム、ウニがグラスの中で凛として煌めいている。スプーンで掬うと、ジュレに包まれたズワイガニが顔を出す。カボチャの純な甘み、コンソメジュレ、ズワイガニ、ウニ。すべてが調和して、口の中で均整美を描く「カボチ …
とんかつ成蔵 | 南阿佐ヶ谷とんかつを待っている間、驚いた。揚げの音、香りが全くしないからだ。低音から時間をかけて揚げられた豚は、余分な水分が抜け、旨味の詰まった汁だけを身に閉じ込める。中粗の生パン粉の衣は、軽 …
鮎をフランス料理に仕立てながら、和を感じさせない。 鮎は、ガトーへと姿を変えて、優美な輝きを見せる。 口に運べば、鮎の滋味、苦味、旨味が次々と襲いかかってきて、呆然となってしまう。 エレガントでいて、力強い。 頬を優 …
特ロースかつ¥2,150 定食¥550 お気に召し度:★★★★★(★×5) 昭和42年開業の人気とんかつ店「丸五」。昼夜問わず、行列は当たり前。昨今はインバウンドも多く見受けられる。豚は産地を指定せず、その時の最高の …