フランス料理百景

 

皆既日食を閉じ込めたような輝きを放つソースに、逆さ富士のように映り込むパイの気品ある姿は、もはやフランス料理百景である。
ナイフを入れると、たちまちバターが鼻を包み込み、口に入れれば、フィレが歯を柔らかく包み込む。舌を流れるフィレのエキスは、ほのかに甘くて上品。
そのエキスが、フォアグラの官能、鷄ムースの温かみと溶け合っていく。
それぞれの持ち味の対比が、旨味の細波となって押し寄せ、やがて渾然となり、香ばしいパイと舞いながら、美味の極地へと達する。

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