カレーと仔羊。おぉ!天地がひっくり返っても旨い定番じゃないか。
えっ!鰻のジュも入っているんですか?
思わず、聞き返してしまった。
思いがけない未知との遭遇に胸を昂らせながら口に運んでみると、カレースパイスで引き立った仔羊の独特な香りと脂の奥底に、鰻がいた。
仔羊とカレーと邂逅を果たした苦味と甘味が共存した鰻の特有は、微かだが確実に在り、仔羊の旨味に寄り添ってえも言われぬ深みを生み出し、私をそのまま引き摺り込んでいく。
“カレーと仔羊?まぁ間違いないよね。だから、私はそこに鰻も合わせちゃうよ!“
この一皿には「フランス料理界の鬼才」と呼ばれる五十嵐シェフらしさが詰まっている。