カレイの中でとりわけ身が細く、味わいは澄んでいて純白な柳カレイ。
その上品さは糸の様に繊細故に、守りの薄味で供されることが多いが、北島亭は攻めの強味だ。
塩を思い切り当てた後、たっぷりのバターで火を入れる。
皮目は香ばしく、身はしっとりとして、どこまでも柔らか。
だが、味わいは硬質。
白身のエレガントの奥底に秘めた、生物としての、子を宿した母親としての、柔ではない凛々しさが、ググッと舌に迫ってくるのだ。
それが、守らず、攻めたからこそ、引き出された生物としての逞しさである。
魚と人間、環境は違えど同じ生物として自然界の淘汰を残り超え、今存在していることに対する敬意が有るからこそ出来た、攻めのムニエル。