参りました。

 

牛が言う。

「さぁ、噛め!」

私はこう返す。

「言われずとも噛んでやる。」

ナイフを入れ口に運べば、牛は歯が入るのを待ち侘びていたかの様に肉汁を吐き出す。

根性のある赤身と柔らかな脂身が砕け、エシャロットの切れ味が鋭いバターソースと混ざり合う。

また、牛が言う。

「どうだ?」

私はこう返す。

「堪らないです。参りました。」

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