甘鯛が喜んでいた

 

甘鯛が笑っていた。

香ばしい皮目を破れば、淑やかな身がほろほろと崩れ、緩い甘みが顔を出す。

クリームソースは優しく寄り添い、甘鯛を温める。

トリュフを纏ったミルフィーユ状のキャベツは、トリュフが精妙で出しゃばっていない。

キャベツの凛々しい繊維を際立て、甘鯛に色香を灯す。

咀嚼し、味わい、喉へと落とすと、甘鯛が喜んでいるのが分かった。

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