「肩の力を抜きなよ」

 

「肩の力を抜きなよ」

仔牛が耳元で囁いてきた。

環境が変化する新年度を迎え、目まぐるしく過ぎ往く日々に早くも徒労気味だったが、仔牛のブランケットに救われた。

サクサクと軽いパイを破れば、バターとソースが交錯した温かな空気に包まれ、身体の力がふっと抜けていく。

ほっくりと煮込まれた春野菜をソースに絡めれば、心が温まり、口元が緩む。

幼い仔牛をクリームのコクと甘味が盛り立て、乳香るゼラチン質が舌に沿う様に溶けていく。

バターライスを絡めて食べれば、野菜と仔牛が溶け合った甘美が米の甘みと重なり、笑顔を呼ぶ。

無論パイも器の中に落としてやる。

米とパイのW炭水化物で、血糖値を上げてハメを外す。

背徳感という調味料が加わって、美味のボルテージが上がる。

ブランケットに救われ、元気づいた。

明日も頑張ろうと思える食事は、尊いものである。

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