そよいちの姉御は今日も絶好調。厨房を1人で守りながら、お客の注文だけでなく、ご飯と豚汁が適当に配膳されているか、店内の全てを把握されている。そんな姉御の姿を見ていると自然とこちらの背筋も伸びる。
注文したポークソテーが供された。
「いただきますっ!」
凛とした姉御の手渡しに、いつもより声が大きくなる。
分厚いながら、ナイフを落とすとスッと切れる柔らかい豚は甘く、ニンニクの香りと醤油の強い風味がとにかくご飯を呼ぶ。あぁご飯。間髪入れずにご飯を口に運ぶと幸福がやってくる。
もちっとしたマカロニは丸く優しい味わいで、すっかりにんにくで満たされた口腔の気分を変えてくれる。
最後のお楽しみとして、脂身とご飯を多めに残しておくのがポークソテーを食べる時の私の決まり事。
舐める様に豚をタレに絡めて、米の上で1、2ステップ。大口開けて豚とご飯を同時に放り込む。
この幸せったらたまりゃない。
伸ばしていた背筋が丸くなる。
– 人形町 そよいち ポークソテー –