脂と血に酔いしれる。

 

「燻製を掛けた安納芋、フォアグラ、白レバーのテリーヌ、ブリオッシュ添え」

安納芋と白レバー、蜂蜜が渾然一体となって、舌の上で甘味と旨味のアンサンブルを奏でる。⁣

サクッと焼き上げられたブリオッシュは、バターの香りがしつこくなく、濃厚なパテとのバランスが保たれる。⁣

サクッと散らかるブリオッシュのバターの香、舌にいすわるねっとりとした口当たり。⁣
安納芋のふくよかな甘味と燻製の香、白レバーのクリーミーな野趣溢れる旨味を蜂蜜がまとめ、口の中で高みへと登っていく。⁣

とろけていくパテの美味しさ、脂を舌の上で溶かしている背徳感に恍惚となり、快哉を叫びたくなる前菜。⁣

 



「月の輪熊とフォアグラ、鳩の胸肉のパイ包み焼き】」

野獣たちの逞しい生命力を強烈に舌で感じ、胃袋で受け止める。⁣

野獣たちを閉じ込めたバターたっぷりのパイ。⁣
口に運ぶと、閉じ込めれた野獣たちが一斉に口の中で暴れ出す。⁣

ミンチにした月の輪熊の猛々しい血の味わいが滲みフォアグラの上に重ねた鳩の鉄分が舌を野蛮に包み込む。⁣

パイはバターの香りを膨らませながら舞い上がり、野趣に満ちた野獣の味わいと重なってリッチな風味が余韻となってどこまでも続く。⁣

ソースは獣の命が宿っているかのように重厚で滑らか。⁣

肉を溺れさせて生まれる深い香り、鉄分に満ちた逞しい旨味。噛み締めるたびに、鼓動が激しくなる。

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– 目黒 レストランユニック –

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