口福を通じて幸福になる。

 

白金高輪にあるミシュラン1つ星。
シェフの柴田氏は、名店モナリザの料理長を務めた後、2016年に当店をオープン。日本全国の生産者や食材に敬意を払い、料理を通じて繋がれる幸せを一皿に表現する。

ー ディナーコース ー
◆ブーダンノワールのオペラ
◆とうもろこしのムース 髭のゼリーとクリーム オリーブオイルと塩を添えて
◆若鮎のデクリネゾン
◆ヒグマのコンソメ 茄子とサクラマス
◆エイのロッシーニ
◆アスパラガス トマトビネガーソース
◆アズキハタ 焦がしバターソース
◆口直し
◆仔羊 ジュと黒オリーブ
◆クイシーメロンに実山椒のアイス ベルヌイユのゼリーとアーモンドのババロア
◆マカダミアナッツとカスタードを包んだイチジクのクレープ
◆お茶菓子

 

 

◆ブーダンノワールのオペラ
アミューズは、オペラに見立てた一品。
本当にデセールかと思ってビックリしました。
スポンジ生地にブーダンノワール、フォアグラ、カカオニブとコーヒーのバタークリーム、フォンドヴォーとマデラのグラサージュ、香り付けにカルヴァドスと説明を聞いただけで涎が垂れそうな一品。
まったりとしたテクスチャーで広がる濃厚なブーダンノワールの血の味わいにファアグラの脂が滲んで広がった後、バタークリームのビターな風味とカルヴァドスの芳醇な香りが豊かな余韻となって続く。
アミューズから素晴らしい。
パティシエに拍手喝采!

 

 

◆とうもろこしのムース 髭のゼリーとクリーム オリーブオイルと塩を添えて
髭まで使ったとうもろこし一本を堪能できるムース。3層にわたって、とうもろこしの大地の甘味が異なる舌あたりで広がっていくのが面白い。全体を引き締める香り高いオリーブオイルと塩の存在も良い。

 

 

◆若鮎のデクリネゾン
頭、尾、骨はサクッと揚げて、身は揚げ焼き、肝はソース、米と和えてピラフにしたデクリネゾン。肝のソースは苦味がどっしりと感じられ、味わいに奥深さを生んでグッド。
泡状にしたレモングラスの爽やかさも心地よい。ベニエにも肝が使われてて油と肝が混ざり合った旨味も後を引くコクがあって素晴らしい味わい。

 

 

◆ヒグマのコンソメ 茄子とサクラマス
熊鍋って締めの雑炊が一番美味しいよねっていう発想から生まれたヒグマのコンソメ。
口に含んだ瞬間に舌に広がる脂の旨味と鼻を抜ける芳醇な香りが実に逞しく、思わず眼を閉じるとヒグマの姿が浮かんでくる。
麹漬けにした肉も入っており、噛むほどに旨味が溢れ出し、飲み込むのが名残惜しいほどに噛む喜びに満ちている。

 

 

◆エイのロッシーニ
中々口にすることのないエイを肝まで使ってロッシーニ風にした一品。
ややこりっとした食感で淡白な身を、濃厚なコクのある肝と程よい酸味とバターたっぷりのソースの旨味が補完する。
ふんだんに乗った黒トリュフの風味も芳しく、濃厚な旨味と風味が口腔全体に広がり、頬が緩む絶品の美味しさ。
どれも素晴らしいですが、特に印象に残った一品でした。

 

 

◆アスパラガス トマトビネガーソース
穂先はそのまま、根の部分は削ぎ切りにしてトマトとビネガーのソースを敷いた一品。
アスパラガスは太さはないものの、甘味を充分に抱え、キャビアの塩味とソースに負けず見事に調和する。シンプルでありながら、しっかりと美味しい。

 

 

◆アズキハタ 焦がしバターソース
魚料理はアズキハタをたっぷりの焦がしバターソースでいただく。
しっとりと焼き上げ、身が膨らんだアズキハタはほんのりとした甘さで、バターの乳のコクと甘味と見事に溶け合う。
たっぷりのアーモンドとケッパーが全体を引き締めるアクセントとして存在感を発揮する。甘味の後に顔を出す香ばしい風味と酸味のアンサンブルが堪らない素晴らしい一品。

 

 

◆口直し
肉料理前の口直しに野菜のマリネ。
旬の野菜と潤菜を野菜の出汁、甘夏、アルコールを飛ばした自家製のジンのジュレと和えて、グーズベリーの酸味を効かせた一品。酸味の中にある程よい甘味の広がり方が見事で、口直しの一品としては完成度が高すぎるものでした。

 

 

◆仔羊 ジュと黒オリーブ
肉料理は大好きな仔羊。藁と一緒に火入され、燻製のような香ばしさを纏った仔羊は鼻にいすわる余韻が堪らない。
赤身は噛むほどに強い旨味と香りを放ち、コンフィにした脂身は甘い脂を抱えている。
ジュのソースには忍ばせたマスタードの酸味が光っており、重厚感ありながら拗さのないバランスで肉に寄り添う。
オリーブの芳しい香りと酸味が凝縮した黒オリーブのソースも仔羊の風味をより一層膨らませ、唸るような旨味へと昇華させる。ポーションもたっぷりで堪らない一品でした。

 

 

◆クイシーメロンに実山椒のアイス ベルヌイユのゼリーとアーモンドのババロア
デセール一品目は旬のメロン。
実山椒のアイスが秀逸で、単品で食べても美味しいですが、メロンに合わせるとピリッとした山椒のアクセントが果実に見事に寄り添って、甘味がより一層感じられる。

 

 

◆マカダミアナッツとカスタードを包んだイチジクのクレープ
いちじくの果実ではなく、葉と茎にフォーカスしたユニークなデセール。
クレープ生地にはいちじくの葉を練り込み、ソースは茎から抽出したオイル、オレンジソースとココナッツソースの3種で。
葉と茎から立つ繊細かつふくよかな香りは、
初夏の涼しげな風のように爽やか。
マカダミアナッツとカスタードに負けない芳しさで、口の中で渾然一体となってクレープと溶け合う。
添えられたチーズのアイスと一緒に口に運べば、クレープにコクがプラスされ、これまた美味しく、笑みが溢れる。
アミューズのオペラといい、パティシエの腕が素晴らしすぎます。2度目の拍手!

 

 

◆お茶菓子
タルトタタン、アールグレイのフィナンシェ
、カヌレとスモモのゼリーの4つ。
いずれもパティシエの手作りで最後まで抜かりありません。タルトタタンは珍しいパイ生地。サクッとした食感から広がるバターの風味が堪らない。
フィナンシェは、アールグレイの香りが立っており、甘味も丁度良い。
大好きなカヌレは中はもちっとヒキが強く、蜜蝋の甘味がふくよかで絶品。サイズアップして食べたいほどの美味しさ。
スモモのゼリーはスッキリとしていて、食事の締めくくりにピッタリでした。

 

以上10品ほど、スタートからフィナーレまで文句なし。『?』となる品が一つも無い素晴らしいものでした。クラシックを土台に、柴田シェフの食材への食材への飽く無き探求の末に生まれ落ちた独創性が、どのお皿にも輝いてる。

2ヶ月毎にメニューは変わるので、その度にお邪魔しようと思います。素晴らしい名店です。

 

– 白金高輪 ラ・クレリエール –

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