巡るとんかつ4 高田馬場「とん太」

 

特ロースかつ定食¥2,400
お気に召し度:★★★★(★×5)

とんかつ激戦区の高田馬場で、一際行列をなす老舗。こじんまりとした店内は、老若男女が一心不乱にとんかつを食らっていて、良い気が流れている。現在は17:00〜20:30の夜営業のみ。ご飯はおかわり100円。

音もなく、低音からじっくり揚げられたとんかつの衣は、黄金色が麗しい。中粗でサクッと軽く、口に運ぶとはらりと舞い、舌の上で淡雪の様に溶けていく。蒸された豚は、しっとりと濡れていて力が抜けており、柔らかく、包み込むように歯が入っていく。慈愛に満ちた優しい甘みで、ブランド豚の様な押し付けがましさが無く、後味に品がある。

 
卓上の調味料は塩、醤油、自家製の辛口ウスターソース。塩でひきたつ豚の甘味を堪能するのも良いが、ウスターソースにすり鉢で供される胡麻を混ぜて食べると尚良い。キレの良いソースで引き立つ甘味に、胡麻が出会って奥行きが生まれ、また違った旨味がやってくる。

 
ご飯は艶々しくて、甘い香りが立っている。キャベツは口当たりが優しく、軽いとんかつと調和を果たす。豚汁は、根菜の甘味、椎茸の旨味が滲み出ていて、豚が大人しくて穏やかな味わい。お新香は、とんかつを食べていることを忘れさせてくれる凛々しい漬け具合で口腔の調子を整えてくれる。

老若男女に愛される理由が分かる、軽い食後感が心地良い。「とん太」のとんかつ定食は、幾つになっても食べられる和む日常食である。

 

 

– 高田馬場 とん太 –

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