巡るとんかつ5 高田馬場「ひなた」

特選ロースかつ定食¥2,900
お気に召し度:★★★★★(★×5)

とんかつ激戦区高田馬場にて、2017年にオープン後、めきめきと頭角を表し、今では「とん太」と並ぶ名店「ひなた」。
豚肉は、柔らかい肉質と甘い脂の「漢方三元豚」としまった肉質とあっさりとした脂の「六白黒豚」の2種類を扱う。
特選ロースかつは前者を使用し、ご飯とキャベツはおかわり無料。

じっくりと揚がったとんかつの断面に目が釘付けになった。肉汁が溢れていて、艶々しく、「さぁ、お食べ。」と囁いてくる。
細かい衣は、油切れが良く、持ち上げても豚にぴったりと寄り添っている。
舌に乗せると、シルキーなタッチで、豚が絡みついてきて、腰を据えた赤身の旨味と甘美な脂を広げる。猛々しさと品格が共存し、エレガントでさえある。
噛むと、肉に歯が抱き込まれ、甘い香りが花開く。そこへ衣の香ばしさが交差し、旨味が一層豊穣になり、心が揺さぶられる。
カットも見事で、一口でご飯と収まり、程度が良い。
調味料は、ソースの他に、トリュフ塩、あまみ塩、インカ塩の3種類。
こういうかつには、断然に塩である。特にインカ塩が良い。塩気の奥に潜んだ甘みが、肉と共鳴し、甘味が一層芳醇になる。

京都は儀兵衛の米は、柔らかい炊き上がりで甘く、そのままでも食べられる文句無しの美味さである。キャベツは軽くて瑞々しく、豚汁は根菜が活きた、さっぱりとした味わいながら、豚の脂も感じられる上等な仕上がり。
主役のとんかつのみならず、隅から隅まで神経を張り巡らせていて、死角がない。
「東京の美味しいとんかつは?」と尋ねられたら、まず当店をおすすめする。

 

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