今日は足を伸ばして武蔵関は「三浦亭」。
カウンター6席のみ。ジャズが流れ、スラッとした高齢のシェフがお一人で営む小さなレストラン。
なにより、厨房全体が見渡せるのが嬉しい。
自分が食べる料理が完成するまでの工程を隅から隅まで見られるのは安心するし、何よりワクワクする。
今はこういうお店は減ったから、食い入る様に見てしまう。
BGMのジャズに合わせるかのようなシェフの流麗な手捌き。右へ左へステップを刻み火を操る様はワルツを踊るジェントルマン。
惚れ惚れします。
前菜は黒板メニューからスモークサーモンとグリエールチーズのキッシュ。
サクッとパイ生地が散らかり、バターの風味が鼻を抜け、グリエールチーズがこっくりと舌に乗る。チーズのナッツの様な香ばしさと僅かな酸味、スモークサーモンのタンパクな旨味に下支えするバター香るパイ生地がとろけて、口の中でなめらかになる。
しっかりしているのに、口溶けがよく軽い脂を残して消える。逞しいのに儚い。相反が共存する美味しさにうっとり。
続けてメインの牛ヒレカツレツ。
100gほどのヒレに衣をつけてオーブンで焼き揚げる。揚げていないので口当たりは軽やか。衣は薄くて油も軽い。
滋養に満ちたヒレの旨味に爽やかな酸味とキリッとしたソースが絡む。
特別に良い肉は使ってないけど、丁寧な下処理と調理技術でしっとりと柔らかい。筋を感じず、素直に歯が沈んでいく。キリッとしたソースの塩味はご飯との相性抜群。慌ててご飯も追加で頼んだ。
締めは昔ながらのカスタードプリン。
スプーンを当てるとプルンと震える硬めの仕上がり。ザ・クラシック。舌に乗せるとバニラの香りとカラメルの苦味が口に広がってゆっくりとろける。
久しぶりのプリン、こんなに美味しかったけ。無くなっていくのが名残惜しくて、ちびちび小口で食べ終えた。
– 武蔵関 洋食三浦亭 スモークサーモンとグリエールチーズのキッシュ・牛ヒレカツレツ・昔ながらのカスタードプリン –