最近は野菜達に魅了されることが多くなった。 腸の調子を整えるためにビーツと人参のコールドプレスジュースを常飲しているが、効果は勿論美味しいのが嬉しく、毎朝の楽しみの一つになっている。 お気に入りのピッツェリアのサラダ …
『ポーションは小さく、感動は大きく』という格言があるが、食いしん坊は、ポーションも感動も大きいと尚嬉しい。 それが好物なら尚更である。 高橋マダムが『日本一』と豪語する五十嵐シェフのヌガーグラッセは、私にとっても『日本一 …
五十嵐シェフは、イタリアンも出来ちゃうのか。 青首鴨が煮込まれても隆隆としている。 血潮香る鉄分を誇り、強勢としている。 これを受け止めるには、太く逞しいタリアテッレが相応しい。 コースの終盤だというのに、強者と強者のイ …
嫌だ。終わらないで。食べ終えたくない。 フォークとナイフを手放し、天に向かって、そう乞うてしまった。 リードヴォーとマルチョウである。 危うい幼さと拙さが残るリードヴォー 踏んできた場数が目の詰まった旨味へと昇華した …
魚料理はパイ包み焼きと聞いてガッツポーズした。 そして、目前に供された瞬間、両拳を突き上げた。 「甘鯛のパイ包み焼き」である。 バターで照りに照ったパイ生地の輝きは、サングラスが必要な程に眩しい。 ナイフを入れれ …
ヤリイカに抱かれてしまった。 程よく加熱された痛快な食感と歯茎に絡みつく甘味が、粘着質なワカメとふくよかなホタテによってしぶとさを増し、剥がそうとしても剥がれない。 そして、ラクレットチーズが溶けたトマトソースはうま …
「美味しい」の語源は「美し(いし)」。 元来、味に限らず兎に角何かを褒める時に使われた言葉だ。 足の細いガラスの中でムースとジュレが煌めく姿は、見る者の心を奪う美しさ。 口に含んだ瞬間、牛乳の甘味を抱き込んだムースの …
スプーンを押し返す弾力。 卵の純真を抱えたカスタード。 ビターなカラメル。 張り詰めているのに、舌に乗ると甘やかに消えていく。 これだよ、これ。プリンはこうでなくちゃならないんだよ。 「バケツ一杯にくださいっ!」 そ …
人参のムースと同じく五十嵐シェフの長年のスペシャリテである「豚足のポルト酒煮込み」。 足を開いて骨を除き、鳥のムースと茸を詰めたそれは、ポルト酒の甘い典雅を香らせ、「さぁ、食べて」と耳元で囁く。 歯や歯茎に絡みつきな …
蛤は、人間の奥底に眠っている動物的本能を沸き立てる。 海底に宿り栄養を蓄え、はち切れんばかりに太りきった肉体は、「噛む」というプリミティブな動物的行為への熱情に満ちている。 サクッと弾ける痛快な衣を纏ったこの蛤のベニ …