フランス料理

美し

  「美味しい」の語源は「美し(いし)」。 元来、味に限らず兎に角何かを褒める時に使われた言葉だ。 足の細いガラスの中でムースとジュレが煌めく姿は、見る者の心を奪う美しさ。 口に含んだ瞬間、牛乳の甘味を抱き込んだムースの …

これが猪

  これが猪か。 儚く消えていく脂と勇猛な肉質の対比は、牛や豚、鳥には無い猪の独特。 どこまでもピュアで淀みなく、それでいて猛々しい。 脂がぐんと乗って舌に迫るが、筋肉を感じさせる身の張り方があって命が迫ってくる。 噛む …

攻める

  カレイの中でとりわけ身が細く、味わいは澄んでいて純白な柳カレイ。 その上品さは糸の様に繊細故に、守りの薄味で供されることが多いが、北島亭は攻めの強味だ。 塩を思い切り当てた後、たっぷりのバターで火を入れる。 皮目は香 …

時空歪んだ

時は緩み、そして加速した。 何を言っているんだと思うだろう。 でも、本当に時は緩み、そして加速したのだ。 トリュフの艶美香るソースが、フォアグラの持つ脂の甘美と抱擁する。 舌に乗せれば、ふわりと崩れ、艶美と甘美が一つにな …