長風呂ですっかりのぼせてしまった豚は、形を留めるので精一杯なほど脱力しきっている。優しく口に運んだら最後、純度100%豚のゼラチンはタレの甘味によって膨らんだ濃厚な旨味を広げて喉の奥へと消えていく。 太陽の様に眩 …
月: 2023年3月
これと言って食べたいものが分からない。胃袋が迷子になることが時々ある。そういう時に足を運ぶのが大衆食堂。和洋中なんでもござれ、壁一面に貼り出された大量のお品書き。定食のセットを選ぶも良し、メインのおかずをまず決めて副 …
親子丼は子を味わう料理だ。ふわっと膨らんだ甘い黄身とトロンとした官能的な白身。溶ききらないことで生まれる子の自由奔放さ。一方、親は充分な噛みごたえで親としての威厳を少量でありながら示し、絶対的な安心感を与えてくれる。 …
七條のハンバーグステーキ デミグラスソース 洋食屋としてスタートし、現2代目が四ツ谷「北島亭」で学んだフランス料理の要素を加えた現在は昔ながらの洋食とフランス料理を提供する1976年創業の老舗レストラン。 むっち …
グラス・アニマルズの「ヒート・ウェイブス」が米HOT100史上最長チャートインの91週を達成したとのこと。91週というと約2年間。米国音楽業界の競争は熾烈極まりない。 一方で日本の飲食業界も競争率も負けてはいない。莫 …
餃子・麻婆豆腐・炒飯・ラーメン・回鍋肉・酢豚。 数ある中華料理の花形達についつい惹かれてしまい、陽の目を浴びることは多くないムースーロー。 (ムスッとしているのは気のせいか。) そんな影の薄いムースーローが花形の炒飯と並 …
海老2本、穴子、キス、人参、ししとう。天ぷらの人気者たちが出揃った文句なしの顔ぶれが嬉しいが、天ぷら中山の天丼の主役はなんといっても彼らを染め上げる黒いタレだ。 こっくりとしていて重そうだが、後味はすっきりとしていて香り …
中目黒は小さな路地に1966年から店を構える「キッチンパンチ」。風俗雑誌「平凡パンチ」と同じ書体の店名と店頭の食品サンプルの姿に懐かしさを覚える町の洋食屋だ。 艶やかな目玉焼が乗ったハンバーグはオレンジ付き。ビタミンCも …
浅草 グリル佐久良のチキンカツチーズ。 言わずと知れた浅草洋食の名店。気さくな女将と実直な娘の優しい洋食の数々にすっかり虜になって通わせてもらっている。 チキンとチーズを揚げ焼きした衣で包んだチキンカツチーズは切り目から …
贔屓にしている街鮨があるのは良いもんだ。好きなネタを好きなように、職人の握る鮨を腹一杯。腹が膨れたらさくっと勘定。江戸っ子らしく少々粋に振る舞いたくなる。 十条はかわなみ鮨。私の贔屓にしている街の鮨屋だ。カウンター席のみ …