私にとって、フランスはジュラといえば、眼鏡であった。「Ma Poule」に来るまでは。 当店の看板メニュー「伊達鷄のヴァンジョーヌソース」である。 ヴァンジョーヌとは、ジュラ地方の名産ワイン。芳醇で香り高く、キリッし …
月: 2023年8月
勿論豆腐である。 だが、「4000 Chinese Restaurant」の麻婆豆腐は、牛が主役である。 口に運ぶとまず、牛の高貴な香りが鼻を抜けて、旨味が広がり、その後から醬や麻婆の刺激が追いかけてくる。 花椒や豆 …
夏も悪くないかもしれない。 「ラブランシュ」のガスパチョを一口食べて、そう思った。 あさりの出汁と野菜のエキスのスープの上に浮かぶ夏の野菜たちは、彩が豊かで生命力に溢れている。 歯を入れると砕けて、香りと味が花開き、 …
「お茶菓子のアップルパイです。」 そう言ってやってきたアップルパイには、粉糖でAppleのロゴが描かれており、皿の中にはAppleの有線イヤホン。 淡々としている小林シェフは実直な印象を受けるが、実はとても遊び心溢れ …
トマトのクーリに浮かぶクリーミーなムースをスプーンで掬い、そっと口に運ぶ。 すぐに喉に落としてはいけない。 舌の上にしばし転がしてやる。 ムースが溶けて、香りと味が花開き、身体にパプリカの生気が芽吹く。 心を溶かす甘 …
仔羊は香りを楽しむ肉だ。 仔羊はクルートで包み込まれ、どっさりと盛られた藁と共に、じっくりと火が通される。 近づくと、食欲を掻き立てる仔羊の匂いと野原を思い出させる藁の青い香り。藁のほんのりとした薫香が仔羊に付き …
「コンビニでもこれ売ってくれませんか?」 「これかなり手間かかってるんですよ」と苦笑い。 でしょうね〜。 生井シェフの復活をいち早く望む。 Odeの「黒糖饅頭 豚の血と鴨チョリソー」 ー ディナーコース ー◆ …
貝を扱うという事において日本人は秀でているのではなかろうか。 レストランリューズでそう感じさせられた。 「オマール海老のフラン」は、海老の凛々しい旨味を抱えたフランと濃密で滋味深い貝のジュレが絡み合い、共鳴し …
「デセールワゴン」。 なんともけしからんサービスである。 「全部どうぞ」。 穏やかな口調で給仕の方がにっこりと囁く。 あぁ、けしからん。 6種のケーキをペロリとたいらげ、膨れた腹を見つめる。 「また、やっちまった」。 …
深い、ソースがとにかく深い。 ポートワインやブランデー、フォンが境目無く溶け合って、古典の品格と重厚がありながら軽い複雑怪奇な旨味がそこにある。えも言われぬ皿の上の混沌に心が溶かされ、身体中が弛緩する。 フォアグラを …