Tag Archives: 東京

猛々しくも儚い。

  池袋ハンバーグ四天王の一角「ウチョウテン」の黒毛和牛ハンバーグ。 箸を入れると、半透明の肉汁が勢いよく溢れ出した。 慌てて口に運ぶと、猛々しい黒毛和牛の香りが鼻を抜けた後、果実の様に甘い脂を残して喉の奥へするりととろ …

お楽しみは2つ。

  軽やかな衣を纏ったミディアムレアの牛はしっとりとした官能的な舌触りと歯を素直に受け入れる柔らかさがある。 噛みしだくほどに高貴な牛の香りが立ち上がり、豊富な鉄分と滋味が溢れ出てくる。 デミグラスソースには甘味と酸味が …

舌を巻いた。

  正直なところ、「味」には期待していなかった。 明治37年創業。文化遺産の様な風情ある空間で食事をする「体験」を味わうのが目的だったのだが・・   オムレツは箸を入れると、半熟卵がとろんと溢れ出た。ふわっ、とろっが共存 …

感謝を込めて。

  創業1968年高級ブティックが立ち並ぶ銀座で古き昭和の匂いが濃く残るエアポケットの様な処。平日の昼間はサラリーマンの飯処、休日は昼間から魚をつまみに酒呑み達で賑わいを見せている。 なびく青ののれんをくぐると「お食事で …

洋食劇場ヨシカミ

  「ヨシカミ」には多くて2人、いや理想を言うなら1人で行きたい。オープンキッチンが目の前に広がるカウンター席に案内されやすいからだ。何人ものコック達が華麗な身のこなしと滑らかな手捌きで次々と料理を仕上げていく。オムライ …

のぼせた豚

  長風呂ですっかりのぼせてしまった豚は、形を留めるので精一杯なほど脱力しきっている。優しく口に運んだら最後、純度100%豚のゼラチンはタレの甘味によって膨らんだ濃厚な旨味を広げて喉の奥へと消えていく。   太陽の様に眩 …

大衆食堂#1 動坂食堂

  これと言って食べたいものが分からない。胃袋が迷子になることが時々ある。そういう時に足を運ぶのが大衆食堂。和洋中なんでもござれ、壁一面に貼り出された大量のお品書き。定食のセットを選ぶも良し、メインのおかずをまず決めて副 …

丼の上の社会情勢

  親子丼は子を味わう料理だ。ふわっと膨らんだ甘い黄身とトロンとした官能的な白身。溶ききらないことで生まれる子の自由奔放さ。一方、親は充分な噛みごたえで親としての威厳を少量でありながら示し、絶対的な安心感を与えてくれる。 …