Tag Archives: マノアールダスティン

春ですね

  バターの光に反射して艶めく麗しい白アスパラガスを目前にして、春の訪れを実感する。 繊細な命の萌芽の香りが漂い、大地の甘さをたたえた甘やかな汁が滲み出す大樹の如き太い一本。 拙い甘味と微かに差し込める苦味の光は春の陽気 …

カレー育ち

極限に生に近しくそれでいて生ではない、ミキュイされた魚介達。 鰆には男性的渋みを、太刀魚には花弁の様な繊細を、甘鯛には女性的慈愛を、鰻には身体昂ぶる滋味を、帆立には心溶かす甘味を、海老には張り詰めた肉体を。 皿の上で一堂 …

カオナシ

  これは普通の白子ムニエルではない。 ソースにフォンとバターが境目なく抱き合っている。 ぷりっ、とろり、とろとろ。 熱々を口に入れると、いけない甘みがフォンとバターの純真と溶け合い、脳がゆっくり溶けていく。 あぁ、あぁ …

甘味の熱情

  供された途端、白い皿から立ち昇るバターの甘い香りに顔が弛緩した。 スプーンでそっとソースと魚介を掬い上げ、口に運ぶ。 バターモンテした黄金のソースには、魚介達のエキスと乳の甘味が境目なく混ざり合った純粋がある。 絹の …