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官能。

  琥珀色のゼリーの上に、ふっくらとした牡蠣が浮かんでいる。その姿を見ただけで、喉が鳴った。口に含むと、牡蠣の白濁としたエキスが、コンソメ、白人参とまぐわう。息が漏れるほどに艶めかしい旨味が舌を舐め、濃密な余韻を残して、 …

鱚は。

  鱚という魚は、素直で飾り気のない「生直(きす)」が語源だというが、ラクレリエールの「キスのクレープ」は夜を妖しくする色気に満ちている。 じゃがいものドレスをはらりと捲ると、鱚は麗しい白肌を晒す。 トリュフとバニラの妖 …

夏の仔羊。

  夏の仔羊は、たくましくも切ない。 鮮血を滲ませる肉は、シルクの様に滑らかなタッチで舌に乗せるとひたっと吸い付いてくる。 その舌あたりは熱い接吻を思わせるほどに甘美で、蠱惑的で、官能的。 どきどきしながら歯を入れれば、 …

自家。

  食材ロス削減のために、野菜屑から丁寧にコンソメを作る。 自家酵母でパンを作る。 自家焙煎で珈琲を入れる。 自家養蜂で蜂蜜を取る。   信太氏は、何から何まで全部やってしまう。 雰囲気ばかりの飲食店が立ち並ぶ表参道の飲 …