Tag Archives: 北島亭

残酷かな

  胡麻を纏った皮目を歯で破れば、身が舌の動きに添いながらしなやかに解れていく。 あたかも舌に同化する様に甘え、焦ったい桃色の色気を漂せる。 サクラマスに官能が震え、弄ばれ、意識がすっーと遠のいていく。 残酷かな。たった …

波の音

  ちゅる。 牡蠣が口に滑り込んできた。 その瞬間、波の音に鼓膜が震え、母なる海に舌が抱かれた。 乳の濃密な甘みが滲み出し、ビネガーと混じり合い、旨味を膨らます。 フランボワーズが、牡蠣と爽やかに融合し、心地良い磯風が吹 …

新たな秩序

  この真鯛のポワレを食べれば、改めてフランス料理が足し算の料理であることが実感できる。 白身魚に敢えて赤ワインを合わせ、ベーコンやソテーした玉ねぎとマッシュルーム、菜花のクリーム煮そしてポーチドエッグを重ねた一皿だ。 …

攻める

  カレイの中でとりわけ身が細く、味わいは澄んでいて純白な柳カレイ。 その上品さは糸の様に繊細故に、守りの薄味で供されることが多いが、北島亭は攻めの強味だ。 塩を思い切り当てた後、たっぷりのバターで火を入れる。 皮目は香 …