「お茶菓子のアップルパイです。」 そう言ってやってきたアップルパイには、粉糖でAppleのロゴが描かれており、皿の中にはAppleの有線イヤホン。 淡々としている小林シェフは実直な印象を受けるが、実はとても遊び心溢れ …
トマトのクーリに浮かぶクリーミーなムースをスプーンで掬い、そっと口に運ぶ。 すぐに喉に落としてはいけない。 舌の上にしばし転がしてやる。 ムースが溶けて、香りと味が花開き、身体にパプリカの生気が芽吹く。 心を溶かす甘 …
仔羊は香りを楽しむ肉だ。 仔羊はクルートで包み込まれ、どっさりと盛られた藁と共に、じっくりと火が通される。 近づくと、食欲を掻き立てる仔羊の匂いと野原を思い出させる藁の青い香り。藁のほんのりとした薫香が仔羊に付き …
「コンビニでもこれ売ってくれませんか?」 「これかなり手間かかってるんですよ」と苦笑い。 でしょうね〜。 生井シェフの復活をいち早く望む。 Odeの「黒糖饅頭 豚の血と鴨チョリソー」 ー ディナーコース ー◆ …
貝を扱うという事において日本人は秀でているのではなかろうか。 レストランリューズでそう感じさせられた。 「オマール海老のフラン」は、海老の凛々しい旨味を抱えたフランと濃密で滋味深い貝のジュレが絡み合い、共鳴し …
「デセールワゴン」。 なんともけしからんサービスである。 「全部どうぞ」。 穏やかな口調で給仕の方がにっこりと囁く。 あぁ、けしからん。 6種のケーキをペロリとたいらげ、膨れた腹を見つめる。 「また、やっちまった」。 …
深い、ソースがとにかく深い。 ポートワインやブランデー、フォンが境目無く溶け合って、古典の品格と重厚がありながら軽い複雑怪奇な旨味がそこにある。えも言われぬ皿の上の混沌に心が溶かされ、身体中が弛緩する。 フォアグラを …
キャビアという食材に対してずっと懐疑的だったが、スリオラの「燻製キャビア」を口にして考えを改めた。 葡萄の木で燻されたキャビアは、ほんのりと白く垢が抜け、鮑の上に鎮座している。 スプーンいっぱいに掬う。 口に近づける …
「生のフレッシュなマッシュルームの美味しさを料理で表現したい」という想いのもと、産声をあげた加藤シェフのスペシャリテ「発酵マッシュルーム」。 発酵による酸がマッシュルームの素朴な滋味を包み込み、一筋縄ではいかぬ、奥ゆ …
無くなっていくのが惜しかった。 ジョンティアッシュの「タマクエのポワレ グリーンアスパラガスのソテーとモリーユ茸のアラクレーム」。 マッチョなタマクエにまだ命の張りがあり、歯を入れると、白く麗しい肉体に秘めたエレガン …