「北島亭」のステーキは、噛めば噛むほどに、命の雄叫びが舌を渦巻く。 舌を踏みつけてくる躍動感のある濃い旨味は、牛の生命力そのものである。 食べているのではない。 肉が私の顎を動かしているのだ。 噛む毎に、肉が口の中で …
艶めく目玉焼が、息を呑むほどに美しい。 とろっと半熟の黄身が流れ出る様は、幾つになっても心躍るものがある。 国産牛と国産豚のハンバーグは、舌に優しく、ふわりと崩れる。 噛むと、合挽ならではの凛々しい牛の香りと豚の甘み …
皆既日食を閉じ込めたような輝きを放つソースに、逆さ富士のように映り込むパイの気品ある姿は、もはやフランス料理百景である。ナイフを入れると、たちまちバターが鼻を包み込み、口に入れれば、フィレが歯を柔らかく包み込む。舌を …
カボチャ、クリーム、ウニがグラスの中で凛として煌めいている。スプーンで掬うと、ジュレに包まれたズワイガニが顔を出す。カボチャの純な甘み、コンソメジュレ、ズワイガニ、ウニ。すべてが調和して、口の中で均整美を描く「カボチ …
とんかつ成蔵 | 南阿佐ヶ谷とんかつを待っている間、驚いた。揚げの音、香りが全くしないからだ。低音から時間をかけて揚げられた豚は、余分な水分が抜け、旨味の詰まった汁だけを身に閉じ込める。中粗の生パン粉の衣は、軽 …
鮎をフランス料理に仕立てながら、和を感じさせない。 鮎は、ガトーへと姿を変えて、優美な輝きを見せる。 口に運べば、鮎の滋味、苦味、旨味が次々と襲いかかってきて、呆然となってしまう。 エレガントでいて、力強い。 頬を優 …
特ロースかつ¥2,150 定食¥550 お気に召し度:★★★★★(★×5) 昭和42年開業の人気とんかつ店「丸五」。昼夜問わず、行列は当たり前。昨今はインバウンドも多く見受けられる。豚は産地を指定せず、その時の最高の …
ミシュランビブグルマンを獲得したことのある洋食屋。 ハンバーグは、厳選した国産の牛肉と豚の合挽き。上品な牛の気品、穏やかな豚の旨味、懐っこい玉葱の甘味が織りなす競演は、練り肉ならではの旨味に溢れ、しなやかで伸びが良い …
「ちょっと量多いけど大丈夫ですか?」 人より食べる私は躊躇せずに 「大丈夫です。」と即答した。 待つこと10分。 出てきた「豚肉角切煮」にたまげた。 湯気を昇らす餡の海に、大きく聳える角煮の山。軽く300gはあるので …
チドリは、小さい巨人である。 小ぶりな躯体ながら、筋肉質で逞しい。 噛めば、歯を押し返す様な弾力があり、断ち切った繊維から、凛々しい鉄分や詰まった滋養がしたたり落ちる。 沸るような血の味と燃え盛る筋肉の味は、野生の猛 …