背の高いグラスと共に、それはやってきた。 「人参のムース コンソメジュレと雲丹添え」である。 大地の滋養をたたえる人参のムースは、穏やかに甘く、舌を優しく抱き込んでくる。 琥珀色が眩いコンソメのジュレは深みのある旨味 …
夏の仔羊は、たくましくも切ない。 鮮血を滲ませる肉は、シルクの様に滑らかなタッチで舌に乗せるとひたっと吸い付いてくる。 その舌あたりは熱い接吻を思わせるほどに甘美で、蠱惑的で、官能的。 どきどきしながら歯を入れれば、 …
ハンバーグ定食1400円 大井町は丸八とんかつ支店。47年続く老舗のとんかつ店。年季の入った店外にたなびく純白の暖簾をくぐると、恰幅のよいご主人と小柄で可愛いらしいお母さんが温かく迎えてくれる。開店以来使い続けている …
特ロースかつ定食 3,000円 お気に召し度:★★★(★×5) 和豚もち豚を扱う、赤坂の有名店。15-18年の3年間ミシュランビブグルマンに選出され、食べログでも百名店の常連。ご飯・キャベツ大盛り無料。おかわりはそれ …
星の数ほど店がある東京で、当店ほど心躍るフレンチレストランは、多くは無いのではなかろうか。 2023年8月に訪問してそう感じた。 当月のコースは世界のリゾート地の味覚を巡る『世界さまぁ〜リゾート』。 沖縄はゴーヤチャ …
食材ロス削減のために、野菜屑から丁寧にコンソメを作る。 自家酵母でパンを作る。 自家焙煎で珈琲を入れる。 自家養蜂で蜂蜜を取る。 信太氏は、何から何まで全部やってしまう。 雰囲気ばかりの飲食店が立ち並ぶ表参道の飲 …
ダニエル・カルバートは、食材を尊び、既存とは違ったやり方で光を当てる。 例えば、「有明山農場美膳軍鷄のポシェ ヴァンジョーヌ」は、香港の土着的料理の「酔っ払い鳥」から着想を得る。 ボーダーレスな感性が、屈託なく表現さ …
舌の上で、平目は蕩けて消えてしまった。 ふんわりと膨らんだ平目が舌に乗る。 花弁のように開いた身質から、ほの甘いエキスが流れ、滑らかなボンファムソースと混ざり合う。 バターと生クリームの乳脂のコク、スープドポワソンが …
美味しいソースは残してはいけない。 パンを片手に、お皿の隅から隅まで綺麗に拭わなければならない。 「最近、ソースを残されるお客様が多いんです。」 軽快洒落なマダムが、珍しく悲しそうな顔をして呟く。 フランス料理の真髄 …
もちっと歯が餅に包まれば、「パリン。」と薄皮が軽快な音を立てて、弾けていく。 すかさず甘い脂が舌に広がり、味噌の甘みや野菜の香りが引き立てる。 うっとりと宙を仰ぎ、頬が緩む。 あぁ、死ぬまでに北京ダックだけで満腹にな …