鮎をフランス料理に仕立てながら、和を感じさせない。 鮎は、ガトーへと姿を変えて、優美な輝きを見せる。 口に運べば、鮎の滋味、苦味、旨味が次々と襲いかかってきて、呆然となってしまう。 エレガントでいて、力強い。 頬を優 …
背の高いグラスと共に、それはやってきた。 「人参のムース コンソメジュレと雲丹添え」である。 大地の滋養をたたえる人参のムースは、穏やかに甘く、舌を優しく抱き込んでくる。 琥珀色が眩いコンソメのジュレは深みのある旨味 …
日本人であるなら、日本の食材の素晴らしさは、重々知っている。 しかし、「エスキス」の料理を食べて、自分の浅はかさを痛感した。 茄子である。 滋養を抱えた夏の茄子は、噛めば、花開く夏の情熱に身体が鼓舞される。 だが、「 …
キャビアという食材に対してずっと懐疑的だったが、スリオラの「燻製キャビア」を口にして考えを改めた。 葡萄の木で燻されたキャビアは、ほんのりと白く垢が抜け、鮑の上に鎮座している。 スプーンいっぱいに掬う。 口に近づける …
「生のフレッシュなマッシュルームの美味しさを料理で表現したい」という想いのもと、産声をあげた加藤シェフのスペシャリテ「発酵マッシュルーム」。 発酵による酸がマッシュルームの素朴な滋味を包み込み、一筋縄ではいかぬ、奥ゆ …
「銀座レカン」の料理長高良シェフが独立してオープン。「熟成」を意味する店名通り、様々な経験を積まれてきた高良シェフの集大成が感じられるフレンチレストラン。ミシュラン2023 1つ星。 ー ディナーコース ー ◆ク …
1.5cmほどの厚さの牛舌は箸で切れるほど柔らかい。 繊維はしたたかに、静かに口の中でほどけていく。 なんともお上品。だけど、噛むと繊維一本一本から豊満な脂が甘い香りと共に顔を出す。 喉へと落ちると、牛舌とデ …
しっとりとした当たりで歯を包みこみ、したたかな弾力がありながらも、スッと入り込んでいく柔らかい仔牛は臭みがなく、ミルキーな風味を漂わせ、脂を滲み出す。成熟した牛とは違った仔牛ならではの澱みのない純然たる肉の旨味 …
昼の銀座。 高級ブティックには観光客がずらりと景気がよろしいこと。変わらず華やかな表通りに背を向けて、暗いビルの地下一階にひっそり佇む『貴船』でお昼をいただく。 真っ赤に染まったカウンターでお茶を啜っていると焼 …
雨が降る月末。月の締めくくりにステキなディナーをいただきに資生堂パーラーへ。入り口で温かいお出迎えを受けて4階のレストランフロアへ登り、美しく整えられた席に腰を下ろす。アツアツのおしぼりからは、ミントの香りがふわ …